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ゆうとく薬局
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くすりのはなし

 このコーナーでは、侑徳薬局の薬剤師が、地域の情報誌に連載させていただいております、薬の話について紹介させていただきます。・・・有限会社 侑徳薬局 管理薬剤師 平山匡彦
1.かかりつけ(h15.09)
2.かかりつけU(h15.11)
3.かかりつけV(h16.01)
4.かかりつけW(h16.03)
5.かかりつけX(h16.05)
6.かかりつけY(h16.07)
7.健康情報(h16.09)
8.ワルファリンカリウムと食べ物の飲み合わせ(h16.11)
9.グレープフルーツと医薬品の飲み合わせ(h17.01)
10.牛乳と医薬品との飲み合わせ(h17.03)
11.牛乳と医薬品との飲み合わせU(h17.05)
12.薬はアルカリイオン水でのんでいいの?(h17.07)
13.クスリとお茶の相互作用(h17.09)
14.薬とお茶の相互作用A(h17.11)
15.タバコと薬の相互作用@(h18.01)
16.タバコと薬の相互作用A(h18.03)
17.タバコとカフェインの相互作用(h18.05)
18.ジェネリック医薬品(h18.07)

19.ジェネリック医薬品U(h18.09)
20.ジェネリック医薬品V(h18.11)
21.最後に〜やっぱり「かかりつけ薬剤師」(h19.01)
.かかりつ〜かかりつけ薬局について

「しぇんしぇ〜、こんまえん薬、のみにっかった〜」(五島の方言で、「先生、先日の薬は、飲みにくかった」と言っています。)と言ってこられた患者さんがおられました。私が薬剤師になったばかりのころのことです。何のことかわからず、いろいろ話を聞いていると、どうも痛み止めの坐薬のことらしいのです。その患者さんは、“坐薬”というものは、座って飲むものだと信じていたらしいのです。これは、薬剤師として経験不足な私の説明不足から生じた悲劇でした。幸いにも、その患者さんの体には何の異常もなく、次からは間違いなく、無事坐薬をお尻から入れることに成功したようでした。
 しかし坐薬での悲劇は、これだけではありませんでした。ある患者さんから、「しぇんしぇ〜こん前ん薬は、いとうして、尻につっこまるんもんじゃなかったよ〜。(先生、あの薬は、痛くてとてもお尻から入れられるものではありません。)」経験不足な薬剤師である私も、以前の経験から、「坐薬は、間違いなくお尻に入れてくださいよ」とお願いしていたのですが、どうもその患者さんは、プラスチックのパッケージから中身の坐薬を出すことなく、そのままお尻に挿入しようと試みたらしいのです。
 この原稿をお読みになっている賢明な読者の皆様は「そんなバカな」と思われるかもしれません。しかし、こんなことは珍しい話ではないのです。それからの私が、坐薬の使い方について、ものすごく詳しく説明するようになったのは言うまでもありません。

 最近、飲み薬の(たとえば錠剤の)プラスチックのパッケージに、絵入りで『錠剤は、包装から出してお飲みください』みたいな注意書きが書かれてあるのにお気づきでしょうか。あれは、錠剤をプラスチックの包装から出さずに、そのままのんでしまうという事故が全国でも後を絶たないことから始まったことなのです。このような事故も、もしかしたら患者さんと薬剤師のコミュニケーションが、もう少しうまくとれていれば防ぐことができたのかもしれません。皆さんもぜひ、行きつけの薬局・『かかりつけ薬局』を一軒決めて、その薬局にいる薬剤師に、薬のことでも、健康食品のことでも何でも尋ねてみてください。そして、馴染みの薬剤師『かかりつけ薬剤師』を見つけておけば、もっと安心して薬を飲むこともできるかもしれませんし、薬をプラスチックの包装から出さずに飲み込んでしまうような悲劇も未然に防ぐことができるのかもしれませんね。
 では次回は、『かかりつけ薬局』『かかりつけ薬剤師』のことについて、もう少し詳しく紹介してみようと思います。

2.かかりつけU薬歴について

『かかりつけ薬局』とは何でしょうか。
 実は、先日ある人からも『かかりつけ医師』というのはわかるけど、『かかりつけ薬局』なんて聞いたことがない・・・といわれたばかりでした。
 『かかりつけ薬局』という名前からして、なんとなくイメージはできるのでしょうけど、では具体的に、どんなことをしていて、『かかりつけ薬局』をもつことで、どのようなメリットがあるのかということを考えてみたいと思います。

@あなたの薬に関する記録「薬歴」を作ります。
 五島中央病院や、町のお医者さんから出された処方箋を薬局に持っていくと、その薬局では、「薬歴」というものを作ります。(私の知る限りでは、五島薬剤師会に所属している薬局はすべて作っています。)これは、たとえばお医者さんたちが書くカルテのようなものなのですが、皆さんがこれまで服用してきた薬の記録や、薬でおきた副作用やアレルギーの有無など、主に薬のことについてさまざまなことを記録したものです。ています。
 私たち薬剤師は、患者さんから処方箋を受け取りますと、この薬歴と見比べながら、今回処方されている薬で過去に副作用が出たことがなかったか、今回の薬以外に服用している薬はなかったか、ほかの病院にかかってなかったか、それらの薬との飲み合わせは大丈夫かなどなど調べていきます。調べると別々の病院で同じような胃薬を出されていたというのはよくある話しです。これ以外にも、いくつかの薬を服用することによってお互いの薬がそれぞれの薬の作用を弱めあったり、また逆に強めあったりということもありますし、中にはまったく別の作用をしてしまうことだって考えられます(薬物相互作用と呼びます)。
 ですから「かかりつけ薬局」では、薬歴などの道具を駆使して、皆さんが安心して薬を服用できるように努力をしているというわけです。そして薬を渡す際にも、薬を服用していて変わったことがなかったか、何か問題はなかったかなどお聞きして、その情報なども記録して、この次来られる時の為に生かしていくというわけです。

 次回は、この「薬歴」がまだまだいろんなことに役立つということをおはなししたいとおもいます。役立つことを説明いたします。

3.かかりつけV薬歴について(2)
 前回、薬局では薬に関する記録「薬歴」なるものを作り、患者さんにより安全に薬を服用していただく努力をしているというお話をさせていただきました。今回は、この「薬歴」が市販薬(薬局で販売されている一般薬)を買いに行くときにも役に立つという話をさせていただきます。
 たとえば、あなたがお正月に酒の席が続き、胃の調子が悪くなったとします。そして、病院に行くまでもないと自己判断し、薬局へ市販薬を買いに行くとしますね。その場合、症状をきちんと伝えていただければ、どこの薬局へ行かれても、あなたの症状に応じた適切な薬を購入することができるだろうと思います。しかし、その前日に膀胱炎になり病院で診察をうけ、膀胱炎の薬を出してもらっていたとするとどうでしょう。
 この場合注意しなければならないことがでてきます。それは、膀胱炎のときに病院で比較的よく出される薬は、一部の胃薬の成分とくっついて膀胱炎の薬の吸収を邪魔してしまい、薬の効きを悪くしてしまうことがあるということです。これは、一部の膀胱炎の薬と、一部の胃薬の組み合わせでおきることであり、すべてに当てはまるものではありませんが、可能性として十分に考えられることなのです。
 このとき、あなたが前日に病院の薬を出してもらった、あなたの「かかりつけ薬局」へ行き、「かかりつけ薬剤師」に相談したとすると次のようなことが想定できます。

 「○○さんは、昨日から膀胱炎の薬を服用していますね。この薬は、一部の胃薬と一緒に服用すると、膀胱炎の薬が体内に吸収されるのを阻害してしまうことが想定されます。ですから、A胃腸薬よりも、このB胃腸薬の方がよいのではないでしょうか。どうしてもA胃腸薬の方がよければ、膀胱炎の薬と同時に服用するのを避けて、12時間空けて服用するとよいでしょう。」と、あなたの「薬歴」を見ながら、より適切な薬を選んで、より効果がある服用方法を勧めてくれるでしょう。
 しかし、別の薬局に行くと、もしかしたらあなたが膀胱炎の薬を飲んでいることに気がつかず、薬の効果が悪くなったりするようなことがあるかもしれません。

 今の例えが絶対あるというわけではありませんが、あなたの「かかりつけ薬局」「かかりつけ薬剤師」というのを決めていれば、より安全に薬が服用でき、便利になることは間違いないと思いますよ。
 次回も、「かかりつけ薬局」についてお話したいと思います。
4.かかりつけW薬歴について(3)
 前回は、薬局で作成している「薬歴」が、一般の市販薬を購入する際にも役に立っているという話をさせていただきました。今回は、この「薬歴」が健康食品などを服用する際にも役に立つという話をさせていただきましょう。
 皆さんの中にも健康食品を買って服用されている方はたくさんおられるのではないでしょうか。最近では毎日のようにテレビや週刊誌、広告等色々なメディアを通じて健康食品のことについての説明がなされているようですし、ダイレクトメール等による通信販売もかなり活用されているようです。
 しかし、この健康食品も医薬品との飲み合わせなどがわかりはじめ、慎重に選ぶ必要がでてきました。たとえば、「クロレラ」という健康食品があります。これは随分以前からよく服用される健康食品のひとつで、多くのビタミンやミネラルがバランスよく含まれ、非常に有用性が高いものとして有名ですが、この中の成分である葉緑素の中には、ビタミンKという成分が多く含まれています。このビタミンKは、「ワーファリン」という、血が固まり血管がつまるのを防ぐためによく用いられる薬剤の作用を邪魔して弱めてしまいます。ですから「ワーファリン」を服用している方は「クロレラ」を服用するのを避けていただかなければなりません。因みにこのビタミンKは、納豆や緑黄色野菜にも多く含まれていますので注意が必要です。このようなことも、「かかりつけ薬局」の「かかりつけ薬剤師」に相談していただくと、今服用されている薬と健康食品の飲み合わせなども気軽に相談できるのではないでしょうか。
 但し、ここで誤解しないでいただきたいのは、「クロレラ」や「納豆」などが血を固めて血管を詰まりやすくするわけではないということです。これらのものは、「ワーファリン」という薬剤の作用を弱めてしまうというだけで、決してそれだけで悪い作用を及ぼすものではありません。
 一度こういう相談を受けたことがあります。「先生、心臓が悪い人は納豆を食べてはいけないそうですね。」これは、先ほどのような誤解から生まれたご相談だったのだと思います。私自身も、店頭に立っていて、よく健康食品についての相談を受けますが、間違った使い方をされている方も多くおられます。たとえば、ペースト状のプルーンを目に塗ったら白内障がよくなるとか、足につけると水虫が治るとか・・・・プルーンは、私の知っている限り、食べたり飲んだりするものであって、決して目や足につけて効果を発揮するものではありませんのでご注意ください。
5.かかりつけXおくすり手帳
 かかりつけ薬局では、あなたの「薬歴」を作り、さまざまなことに活用しているというお話をさせていただきましたが、今回は、皆さん方が持ち歩く薬歴ともいえる「おくすり手帳」を紹介させていただきます。
 「おくすり手帳」とは、簡単に言うと、あなたが服用している薬を記録していく手帳のことです。これは薬局や病院という医療機関で保管するカルテや薬歴とは別に皆さん自身が保管するというものです。では、いったいどのようなときに役に立つのでしょうか。

 たとえば、あなたが風邪にかかりA内科を受診します。その際、薬を処方され服用するとします。しかし、急に歯が痛くなり、歯医者さんに行かなければならなくなりました。そのときに、「どこかほかの病院で薬とかもらってないですか?」と聞かれることになると思います。こんなとき、なかなか薬の名前ってわからないですよね。では、服用している薬を確認する方法としてどのような方法があるでしょうか。
@薬を持参する。
A薬局でもらった薬の情報を書いた紙を持っていく。
B先日受診したA内科に電話して確認してもらう。
Cかかりつけ薬局の名前を告げて、薬剤師に聞いてもらう。
だいたいこんな感じでしょうか。

 確かに、これらの方法でも大丈夫でしょう。ただし、通院している病院が3ヶ所・4ヶ所と増えてくると、これらの方法では難しくなってきます。そんなときに「おくすり手帳」が便利になってきます。
 かかりつけ薬局で「おくすり手帳」を作ってもらい、その手帳を他の病院や薬局に行く際にも持って行き、その都度記入してもらえばよいのです。そうすれば、いつごろ、どこの病院で、どのような薬を出されて飲んでいるということがすぐにわかるのです。 ですから、歯医者さんにかかるときにも「おくすり手帳」を持っていっておけば、薬の名前がすぐにわかってもらい、同じ薬を出されたり、飲み合わせの悪い薬を出されたりということがなくなるというわけです。
6.かかりつけYおくすり手帳(2)

前回から紹介させていただいています「おくすり手帳」ですが、一人の方が何冊も持っていることがあるようですね。
 たとえば、いろいろな病院や薬局に行く際に、それぞれの病院・薬局ごとに手帳を作ってもらっているような方がいます。これでは他の病院や薬局でもらっている薬の確認ができませんので、飲みあわせを未然に防ぐことが難しくなります。また、手帳を持ってくるのを忘れたからといって、新しい手帳を作ってもらい、薬の服用歴がバラバラになっているということもあるようです。これでは、現在飲んでいる薬を確認するのが非常に困難になります。ですから、あなたの「おくすり手帳」は1冊にしてください。そして、いろいろな医療機関に言った際、薬の名前をすべて記入してもってください。そうすることによって、この手帳が有効に活用されることになります。

 また、薬局で薬を買って服用するときや、いつも服用している健康食品なども「おくすり手帳」に記入していくと、よりすばらしいと思います。そのほかにも、これまでに服用して、あなたにあわなかった薬とか、食べ物のアレルギーなんかも書いておいてはどうでしょうか。薬の中には、食品を原料にして作られているものも多くありますので、そのようなことも書いてあると、薬を服用して問題が起きるということを未然に防ぐことができるのではないかと思います。

 使い方によっては、とても便利な「おくすり手帳」を皆さんも是非活用してください。「手帳」そのものは、処方箋を受け付けている薬局であれば、どこに行っても無料でいただけると思います(一応、かかりつけの薬局で確認してみてください)。ただ、各薬局で薬の内容を記入する際には手数料を若干いただくことになります。(保険が適応されますので、保険の割合によって金額に差はありますが、老人保健の場合、大体10円から20円くらいです。)

7.健康情報(H16.09)

 先日、「最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学/薬の飲み方スペシャル」という番組が放送されていました。その中で、血液をサラサラにする薬である「ワルファリンカリウム」を継続的に飲んでいる方が、健康にいいからとグレープフルーツジュースを飲むようになったところ、「ワルファリンカリウム」が効き過ぎるようになってしまい、脳内出血で死亡されたという内容の再現ビデオが放映されました。
 この「ワルファリンカリウム」という薬剤は、一般的に良く用いられる薬剤で、納豆や緑黄色野菜、クロレラ食品等を一緒に食べると薬の効果が弱くなってしまうということは良く知られているので、かかりつけの薬局で話は聞かれていると思いますが、グレープフルーツジュースとのことは聞かれたことがなかったでしょう。実際、私たち薬剤師も、このような情報は持ち合わせておらず、翌日は、みんなバタバタと情報の収集を行っていました。

 結局のところ、「ワルファリンカリウム」と「グレープフルーツジュース」との飲みあわせで死亡例の報告はなく、世界中の文献を当たっても、重大な副作用が出てくる可能性は現状では考えにくいということで落ち着き、テレビ局側も「患者の方々が、薬を正しい方法で服用されることを目的として放送したもので、薬の危険性などを訴えるものではありません。薬と食べ物(飲み物)の飲み合わせは、薬の成分や患者の症状の違い、体質などによっても異なります。医師または薬剤師にご相談のうえ、用法・用量を守って服用されることを願っております。」というコメントを出すことになりました。
 この番組は、かなりの方たちに影響を与え、各薬局にもテレビのことに関しての問い合わせがあったようでした。皆さんも是非、信頼できる「かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師」を見つけて相談していただきたいと思います。

8.ワルファリンカリウムと食べ物の飲み合わせ

 今回は、前回の話の中で出てきた、「ワルファリンカリウム」と食品との相互作用について紹介させていただこうと思います。
 この薬剤は、体内で血液の凝固に関係するといわれるビタミンKの働きを邪魔して、血管内で血液が固まるのを妨げ、血液が血管の中で詰まる血栓の予防や、進行を抑えたりする作用があります。ですからビタミンKをたくさん含んだものを食べると、薬の効果が弱くなってしまうことがあります。このビタミンKを多く含む食品の代表格が納豆です。「ワルファリンカリウムを服用するときには、納豆は食べないでください」という説明をかかりつけ薬剤師にされるのはこういうわけです。このビタミンKを多く含むものとしては、他にホウレン草やブロッコリーのような緑黄色野菜もそうです。具体的には1日350500gと大量に食べたり、これらのものを原料として濃縮したような青汁やクロレラなどのような健康食品を服用すると効果が弱くなってしまう可能性があります。
 ただ、これらの食品がそれだけで血液を固めやすくするというものではありませんので誤解されないようにしてください。納豆などは逆に血液をさらさらにするのではないかという話もありますし、またカルシウムが骨になるのを高める働きもあるとされていますので、「ワルファリンカリウム」などを服用していないのであれば、遠慮せずに食べてよいのではないかと思います。

 今回は、ひとつの薬品に関しての紹介でしたので、かかわりのない方もたくさんおられると思いますが、医薬品と食品との相互作用として非常に代表的なものですので、あえて紹介をさせていただきました。次回も身近な食べ物と医薬品に関する相互作用について紹介してみたいと思います。
 またこの薬には、飲み合わせの悪い医薬品もありますので、詳しいことはかかりつけの薬剤師にお尋ねください。

9.グレープフルーツと医薬品の飲み合わせ

今回は、グレープフルーツと医薬品との飲み合わせについて紹介したいと思います。この果物は、ただ食べたり飲んだりする分には、非常にビタミンも豊富で、さまざまな効果があるとも言われていますし非常においしい果物なのですが、医薬品との飲み合わせが非常に多い食べ物のひとつです。
 特にカルシウム拮抗剤という種類の血圧を下げる薬との飲み合わせが有名で、薬によっては、グレープフルーツジュースと一緒に服用することで、3倍から4倍も薬の効果を強める可能性があるといわれていますので注意が必要です。このような相互作用は、同じカルシウム拮抗剤でも、その強さは薬によってそれぞれ違いますし、個人差もあるようです。
 この相互作用は、カルシウム拮抗剤以外にも、コレステロールの薬や、免疫抑制剤、睡眠薬や抗アレルギー薬、その他でも確認されていますので、グレープフルーツをよく食べたり、そのジュースをよく飲まれる方は、一度かかりつけ薬剤師にご確認されたほうがよいでしょう。
 では、どうしてこのような相互作用が起こるのでしょうか。
 これらの薬剤は、小腸に存在する代謝酵素によって代謝されますが、グレープフルーツは、この酵素の働きを阻害します。そしてまた、消化管に存在する薬物を排出輸送する役割を持つタンパク質の働きを邪魔する働きもするそうです。そのために、薬が体の中にとどまる時間が長くなり、血液中の薬物濃度が上昇して、薬が効きすぎることがあるというわけです。
 これは、以前はグレープフルーツのジュースを飲んだ場合に起こる作用で、グレープフルーツの果肉を食べる場合は関係ないと説明されてきましたが、最近では果肉を食べた場合でも、ジュース同様の相互作用が起きることが確認されていますので注意が必要です。

 次回は、牛乳と医薬品に関する相互作用を紹介させていただきます。

10.牛乳と医薬品との飲み合わせ

今回は、牛乳と医薬品との飲み合わせについて紹介したいと思います。
 牛乳は、私たちにとって非常に身近なものであり、子供のころなどは、半ば強制的に学校でも飲まされたりもしていましたので、水みたいな存在のように考えられる方もおられると思いますが、これが、薬と一緒に服用すると実に様々な影響が出てきます。
 たとえば、「胃で溶けずに腸で効く!」という便秘薬のCMをご存知でしょうか。あのようなタイプの薬は、胃を通過して腸で溶け、腸壁を刺激して効果を発揮するようになっています。しかし、同時に牛乳を服用すると、牛乳が胃酸を中和し胃の中のpHを上昇させアルカリ度を高めてしまうために、腸で溶けるはずの下剤が胃で溶けてしまい、下剤としての効果を発揮しないということがあります。しかも、ただ効果を発揮しないだけならまだしも、胃で溶けることによって、腸を刺激するはずのものが 胃を刺激してしまい吐き気を起こしたり、胃を痛めたりということも考えられますので注意が必要です。

 また、そのほかにも「1日2回」をうたい文句にしている風邪薬などもありますが、こういった薬は、胃で溶ける部分と、胃を通過して腸で溶けるようにしている部分とを合わせ、効果を長時間持続するように工夫がなされています。これもやはり牛乳と一緒に服用すると、腸で溶けるはずの部分も胃で一緒に溶けてしまい、効果が一度に発現し副作用が出たり、効果が持続しなかったりということが考えられます。
 このほかにも腸溶錠という腸で溶けるように作られた医薬品は、胃酸で分解すると効果が減少する性格を持ったものなど数多く存在しますので、基本的には薬を牛乳で服用するのは避けたほうが無難なのではないかと考えられます。
 次回は、今回とは別の方向から、牛乳と医薬品との飲み合わせについて紹介させていただきます。

11.牛乳と医薬品との飲み合わせU

前回は、主に牛乳が胃酸を中和し、胃の中のpHを上昇させアルカリ度を高めてしまうために考えられる相互作用について説明させていただきましたが、今回も前回に引き続き、牛乳と医薬品との飲み合わせについて紹介したいと思います。
 皆さんもご存知のように、牛乳には豊富なカルシウムが含まれていますが、テトラサイクリン系という種類の抗生物質や、ニューキノロン系と呼ばれる抗菌薬などは、このカルシウムとくっつくことにより吸収されにくくなるといわれています。ただ、薬によってはあまり影響がないものもありますので、牛乳がお好きな方で、このような薬を服用される際には、一度かかりつけ薬剤師にご相談ください。ただし、これらの薬と牛乳を飲む間隔を2時間程度あけていただければ問題ありません。
 他にも、薬の中には脂溶性といって、脂肪分が多くあると溶けやすくなる性質のものがありますが、こういった薬は、牛乳に含まれる脂肪分によって非常に溶けやすく、また吸収されやすくなることによって、薬が効きすぎることかも考えられますので、やはり注意が必要なようです。たとえば、グリセオフルビンという抗真菌薬(飲むタイプの水虫の薬・爪の水虫の治療などによく使います)などがその代表的なものです。
 また、アルミニウムやマグネシウムというミネラルを含む制酸剤(胃薬)の一部のものは、大量の牛乳と一緒に服用すると、高カルシウム血症になり、吐き気や食欲不振になったりすることもあるといわれていますので、避けていただいたほうが良いと考えられます。胃が痛むときに、牛乳を飲むと落ち着くことがあるので、胃が痛くなったら牛乳を飲むとおっしゃられる方がいますが、胃薬と一緒に服用するのは控えたほうが賢明でしょう。

 牛乳は、一般的に良質のたんぱく質、脂質、ビタミン、カルシウムなどのミネラルをバランスよく、たくさん含んでいますので、非常に有効な栄養の摂取方法だと考えられますが、その非常にたくさんの栄養分が薬を服用する際妨げとなることもあるようです。やはり基本的には薬を牛乳で服用するのは避けたほうが無難なのではないかと考えられます。

12.薬はアルカリイオン水でのんでいいの?

 最近、店頭で「アルカリイオン水で薬を飲んでもいいの?」と尋ねられることが多くなりました。
 『アルカリイオン水』は、水を電気分解して得られるpH9〜10のアルカリ性の水溶液です。電気分解の原理については、ここでは省かせていただきますが、「乳酸カルシウム」を使用することが多く、水溶液の中にはカルシウムイオンが含まれているようです。
 この性状ですが、何かに似ていると思いませんか?そう、「牛乳」です。牛乳と薬との飲み合わせについては、前回、前々回と紹介させていただきましたが、どうも「アルカリイオン水」についても同様のことが考えられるようです。
 たとえば牛乳のところで前回紹介させていただきましたが、テトラサイクリン系という種類の抗生物質や、ニューキノロン系と呼ばれる抗菌薬などは、このカルシウムとくっつくことにより吸収されにくくなるといわれています。またアルミニウムやマグネシウムというミネラルを含む制酸剤(胃薬)の一部のものは、大量の牛乳と一緒に服用すると、高カルシウム血症になり、吐き気や食欲不振になったりすることもあります。そして、前々回紹介させていただきましたが、胃酸を中和することによって、本来腸で溶けることによって効果のあるはずだった薬が胃で溶けてしまい、効果が出るどころか副作用が出てしまうといった状況も想定されます。
 ただし、国民生活センターの商品テストの結果によると、アルカリイオン水の制酸作用は牛乳の1/20で、胃酸を中和するためには10〜20リッターもの大量のアルカリイオン水を連続的に飲む必要があるそうです。またカルシウムに関しても、量としては牛乳の1/40〜1/20程度で、臨床上問題になるように強い作用ではないとも言われています。
 しかし現状では肯定できるようなデータもそろっていませんし、医薬品はpH7付近の水で服用することを前提に製造されており、アルカリイオン水で服用した薬剤の体内動態についての具体的なデータもありませんから、アルカリイオン水での薬の服用は避けていただいたほうが無難であると考えられます。

13.クスリとお茶の相互作用

今回は、皆さんから一番問い合わせが多い「くすりをお茶で飲んでもいいのか」ということについて説明させていただきます。
 まずは鉄剤についてです。鉄剤とは貧血になったときによく処方される薬ですが、以前は「この貧血のおくすりは成分が鉄剤ですから、この薬を飲むときはお茶を控えてください」なんてことを言われたりもしました。これは、お茶に含まれる渋味成分である『タンニン酸』が鉄と複合体を形成することによって、鉄剤が吸収されにくくなることによります。
 ただ最近では、一緒に服用してもあまり影響ないのではないかという意見が一般的になってきています。それはまず、鉄が不足している方たちは、鉄を吸収しようと体が要求する力が強くなるということ。そして多少は鉄剤の吸収が落ちるにしても、大半は体内に吸収され、薬の効果は十分に発揮されるだろうということからです。また、実際に試してみても、貧血の効果にあまり違いがなかったとするデータもあることから、極端に濃いお茶を飲んだり、大量に飲まない限りは、お茶を飲むことをやめる必要はないようです。
 しかし、鉄剤を服用すると胃が悪くなる方が時々おられますので、お茶とは別にコップ一杯の水かぬるま湯を用意していただき、食後すぐにそのコップ一杯の水で薬をのむことをお勧めします。それは、熱いお茶で薬を飲みますと、一息に大量の熱いお茶を飲むことが難しいので、どうしても少量の水分で服用してしまうことになり、食道や胃粘膜に刺激を与える可能性が考えられるからです。ですから薬はとりあえずコップ一杯の水で服用していただき、その後にでもゆっくりとお茶を楽しんでください。
 因みに、このタンニン酸と鉄が複合体を形成することを利用して、南部鉄や刀のつばなどでは古来より鉄を丈夫に錆びにくくするために煎茶で鉄を煮沸するという手法がとられているそうです。
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14.薬とお茶の相互作用A
 前回は、お茶に含まれる渋味成分である『タンニン酸』と鉄剤との関係について紹介させていただきましたが、今回も引き続き、お茶と薬の相互作用について紹介させていただきます。
お茶には、『カフェイン』という成分も含まれています。この『カフェイン』も薬との飲み合わせに非常に密接にかかわってくる成分のひとつです。
 まず問題となるのは、『カフェイン』そのものを含んだ医薬品と『お茶』との相互作用です。『カフェイン』は、栄養ドリンク剤や眠気覚まし、カゼ薬、痛み止め、乗り物酔いの薬など様々な薬品に含まれています。これらの医薬品をお茶で服用すると、当然カフェインの過剰摂取となり、カフェインの副作用が強く出て、頭痛がしたり、眠れなくなったり、イライラして落ち着かなくなったりというようなことが考えられます。ですから、『カフェイン』を含む医薬品とお茶を一緒に服用することは避けた方が良いと思います。ただし一般的には、日常的にカフェインをよく摂取しているような方は、体がカフェインに慣れてしまっていることが多く、相互作用はそこまで心配しなくても良いのではないかとも言われています。ですが、極端に濃い大量のお茶で『カフェイン』を含む医薬品を飲むことは避けてください。
 これらの相互作用はお茶だけでなく、やはり『カフェイン』が含まれているコーヒー、紅茶、ウーロン茶、ココア、コーラなどの飲み物やチョコレートなどでも同様のことが言えます。特に、大人の方のように『カフェイン』に体が慣れていないお子さん方が好きな、コーラやチョコレートにも『カフェイン』が含まれているということは意外と知らせれていませんので、お子さんに薬を飲ませるときには気をつけたほうが良いと思います。
 また、喘息などの症状のときによく使われる、気管支を拡張する『テオフィリン』という医薬品の成分がありますが、この薬もカフェインとよく似た性格を持っているため、『カフェイン』を含むお茶などと同時に服用すると、それぞれの作用が強く出てしまい、カフェインを過剰摂取したのと同様に頭痛などの症状が出る可能性がありますので注意してください。
15.タバコと薬の相互作用

 タバコは別に食べるわけじゃないから、薬との飲み合わせなんて関係ないだろうと意外に思われる方も多いのではないでしょうか。

 タバコそのものが、体に悪い影響を与える可能性があるということは良く知られていますが、実は、タバコの中にも薬の効果に影響を及ぼす成分が含まれています。そのひとつが皆さんもご存知「ニコチン」です。

 高血圧や、狭心症・不整脈などの治療に用いられるβ遮断薬という種類の薬剤があります。この薬剤は、心臓が過剰に働き過ぎないように休ませる作用(心臓を止めるわけではありませんので誤解されないように)があります。これは心臓にある交感神経のβ受容体を遮断することにより心臓の拍動を抑え、血圧を下げたりする効果を発揮するわけですが、ニコチンはこの反対の作用をするといわれています。ですから、喫煙が薬と逆の働きをすることになりますので、当然、薬の作用を邪魔するということになります。たとえばβ遮断薬としてよく用いられる薬剤で「インデラル」という薬剤がありますが、この薬の場合、タバコを吸う人と吸わない人を比較すると、約2.7倍もの効果の差が出てくるというデータもあるそうです。

 また、糖尿病の治療で用いられるインスリンも、タバコを吸う人は、吸わない人に比べて、インスリンの量を1530%増量しなければ同等の効果を得られないともいわれています。これはニコチンそのものが体内で血糖値を上昇させるということも関係していますが、喫煙することによって末梢の血管が収縮し、インスリンの注射をしても薬が吸収されにくくなるということも関係しているようです。

 また、薬局で販売されている禁煙を助けるためのニコチンガムや、医療機関で処方されるニコチンパッチなどニコチン製剤がありますが、これらを使用しながら喫煙してはいけないということは言うまでもないでしょう。

16.タバコと薬の相互作用A
 前回に引き続き、タバコと薬の相互作用について紹介してみたいと思います。
 タバコの中にはニコチン以外にも約4000種類もの化学物質が含まれていると言われています。今回は、その中からタバコと薬との相互作用を考える際に、ニコチンとともに強く係わり合いを持つ物質として、主にタバコの「ヤニ」に含まれる「芳香族多環炭化水素」という物質について紹介してみたいと思います。
 ヤニに含まれる「芳香族多環炭化水素」は、くすりを代謝する働きを持つ酵素の働きを強めます。つまり「芳香族多環炭化水素」が影響を及ぼしやすい酵素を介して代謝される薬剤は代謝が促進されやすくなりますので、薬が体内から早く無くなり、効果が弱くなるというわけです。
 たとえば、気管支を拡張することによって、喘息の治療などに使われる「テオフィリン」という薬剤がありますが、1日20本以上タバコを吸う人は、このテオフィリンの血中濃度が2/3〜1/2程度になると報告されています。そのため、タバコを吸わない人と同等の効果を期待するならば、タバコを多く吸う方は「テオフィリン」を1.5〜2倍多く摂取する必要があります。
 逆に考えると「テオフィリン」を服用している人が急に禁煙をすると、この薬の血中濃度が上昇し、副作用が強く現れることも考えられます。喘息の方などは、タバコを止めるように指導される機会も多くなると思いますが、かかりつけのお医者さんとよく相談し、薬の量を調整しながら、上手に禁煙することをお勧めします。
 また、禁煙を補助するための「ニコチンガム」や「ニコチンパッチ」には、ニコチンは入っていますが、「芳香族多環炭化水素」は含まれていません。ですからこれらを使用して禁煙した場合も、タバコを止めてしまったのと同様に「テオフィリン」の効果が強く現れる可能性がありますのでご注意ください。
 ただし、これを理由に禁煙するのを止めるとか、そういう考えはくれぐれもおやめください。

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17.タバコとカフェインの相互作用
 前回は、タバコの「ヤニ」に含まれる「芳香族多環炭化水素」と喘息の治療などに使われる「テオフィリン」の相互作用について紹介させていただきましたが、この「テオフィリン」という物質と、コーヒーや紅茶,コーラ、医薬品などに含まれるカフェインとは同じ様な構造・作用・性質をもっています。というわけでこのカフェインもテオフィリン同様、タバコの影響によって代謝が促進され、体内から早く無くなることによって効果が弱くなってしまいます。
 では実際にどういうことがおきるのかということを考えてみましょう。
 徹夜で勉強や仕事をしなければいけないときに、眠気覚ましにコーヒーを何杯もガバガバ飲みながら、タバコをガンガン吸って寝ないで頑張る。タバコを吸われる方は、一度は経験があるのではないでしょうか。私も学生時代はまだタバコを吸っていたので、一夜漬けで試験勉強をする際にはよくやっていました。しかしよくよく考えてみると、これは何の意味もなかったということがわかります。確かにコーヒーに含まれるカフェインには眠気を覚ます作用があります。しかし同時にタバコを吸うとカフェインの代謝が早くなり、カフェインの効果が弱くなります。ですからタバコを吸いながらだと、何杯コーヒーを飲んでも眠気覚ましの効果はなくなるというわけです。
 またこんなことも考えられます。
 市販のほとんどのカゼ薬にはカフェインが含まれています。これはカフェインそのものの作用を期待している部分もありますが、カゼ薬に含まれるほかの成分によって眠気が出るのを予防する効果も期待しています。ですから風邪薬を服用しているときに、タバコを吸ってしまうとカゼ薬の効果自体が弱くなるのと同時に、カフェインによる眠気覚ましの効果も無くなります。ですからタバコを吸う人がカゼ薬を飲むと、タバコを吸わない人よりも余計に眠気を感じてしまうというわけです。どちらにしてもタバコは肺や気管支にもよい影響は与えませんので、風邪をひいているときには、タバコは吸わないようにしてください。
18.ジェネリック医薬品
 最近、「従来の薬と同じ成分・同じ効き目で低価格な医薬品」というような「ジェネリック医薬品」についてのテレビコマーシャルをよく見かけます。実際、私の薬局へも質問に来られたり、電話で尋ねられたりという方が非常に多くなっていますので、この機会に紹介してみたいと思います。
 製薬会社が新しい薬を開発して発売するとします。その場合、開発して有効性・安全性などを試験・確認したりして承認されるまでにだいたい10年から15年もの歳月がかかり、その費用は約200億円程度必要とされています。このようにして、せっかく苦労して開発した薬を他の会社にただで真似されて作られてしまっては苦労の甲斐がありません。そこで新しく開発された薬は約20年間の間、「特許」という制度で保護されることになります。つまり、特許期間とされる約20年程度は、開発した会社だけがその薬を製造する権利を持つことができ、他の会社はその薬に関しては手を出せないということです。
 そして、約20年間の「特許期間」を過ぎると、他のメーカーに対しても、「どうぞ同じ成分で薬を作ってもいいですよ」とお許しが出て、様々なメーカーが同じ成分を使って薬を作り始めるということになります。その、最初の開発メーカー以外の会社が作った医薬品のことを「ジェネリック医薬品」もしくは「後発医薬品」と呼びます。因みに医療関係者はよく「ゾロ品」という呼び方をします。これは、特許が切れてから、多くの会社が同じものをゾロゾロと作るからだとも聞きますが、真意のほどはよくわかりません。
 そこで、テレビCMに出てくる「同じ成分・同じ効き目で低価格な医薬品」という決め台詞についてですが、このキャッチコピーにはいくつかの点で多少疑問点があります。確かに「同じ成分」は使用しているのだと思います。ただ、本当に「同じ効き目」なのでしょうか。副作用など安全性も同じなのでしょうか。そして、CMで言うように本当に「お薬代を3割から8割抑える」ようになるのでしょうか。
 次回は、これらについて少し考えてみたいと思います。
19.ジェネリック医薬品U
 今回は、「ジェネリック医薬品」のコマーシャルに出てくる次のポイントを検証してみたいと思います。
 @同じ効き目なのか?A同じ副作用なのか?Bお薬代を3割から8割抑えられるのか? 
但し、お薬によっても内容は異なりますので、詳しくは、それぞれの「かかりつけ医師」や「かかりつけ薬剤師」に相談してみてください。
 @同じ効き目なのか?
前回、約20年間の「特許期間」を過ぎると、他のメーカーに対しても「どうぞ同じ成分で薬を作ってもいいですよ」とお許しが出て、様々なメーカーが同じ成分を使って薬を作り始めるという話をさせていただきました。確かに特許期間が過ぎると同じ成分は使えるようになります。ところが多くの新薬には製法に関しても特許があり、これらの特許に関するお許しは出ていないのです。つまり、「同じ成分は使ってもいいけど、同じつくり方はしちゃだめですよ。」というわけです。特殊な製法によって、効果を発揮したり、長時間効果が持続したり、吸収されるものがあります。これらの薬剤の製法に関する特許は、最初に新薬を開発したメーカーが保持し続けますので、ジェネリック医薬品は、これとは全く違う方法や製法を考えなければなりません。(特許の使用料金を支払えば別ですが)
 このときに、別に違う方法であっても「同じ効き目」であれば問題ないだろうということになります。確かにきちんと約束どおりの効果が現れ、副作用も、もともとの先発医薬品と同じであれば何の問題もないでしょう。ただし、多くのジェネリック医薬品では、まだそこまでのデータが出揃ってないというのが現状です。また、医薬品中に含まれる添加物に関しても、実は内容物が異なっているものも多く見受けられますので、この添加物によって、副作用やアレルギー反応に差が生じることだって考えられます。こんな訳で、CMで「同じ効き目」といわれることに対して、私たち薬剤師の多くは首を傾げてしまいます。
 ただし、もともと医師が好んで使用していたジェネリック医薬品もあります。これらの医薬品は、それぞれの医師の使用経験の中で、先発医薬品との強弱の差や副作用の頻度などを良く見極めたうえで使用されていますので安心して服用してください。結論としては、安易に何でもかんでも「ジェネリック」に変更してもらうのでなく、皆さんの症状に応じた信頼できる医薬品をかかりつけの医師・薬剤師とよく相談し、選択した上でお薬を服用していただくことをお勧めします。
20.ジェネリック医薬品V

今回は、「ジェネリック医薬品」についての最終回です。まずは、もともとの医薬品とジェネリック医薬品は「同じ副作用なのか?」ということについてです。このことについては前回述べましたように、製造方法の違いなどによる血中濃度や吸収の差によるもの、また含有添加物の違いによる副作用やアレルギー反応に差が生じるということも考えられることから、結論としてはもともとの薬剤とジェネリック医薬品は同じものでないために、「副作用も同じとはいえない」ということが言えます。ですから、もともとの医薬品では発現しなかった副作用が、ジェネリックに変えたことによって発現することが考えられますし、実際起きています。逆にもともとの医薬品で出ていた副作用が、ジェネリックに変えたことで、なくなるということもあるのかもしれません。

最後にお金のことです。テレビコマーシャルで「あなたのおくすり代を3割から8割抑える医薬品の新しい選択肢です。」なんてことをいいます。実際に薬代が安くなるかといわれると、確かにほとんどの場合安くなります。(数は少ないですが、逆にジェネリックの方が値段が高い場合もあります。)単純に薬の値段だけ比較すると、8割くらい安いものも確かにありますし、すごいものでは9割安いものもあります。但し、皆さんが薬局において支払う“おくすり代”に含まれているのは、純粋な薬の値段だけのものではありません。実際には調剤料や基本料など様々な技術料が含まれていますし、不思議なことにジェネリック医薬品を使うだけで加算される料金もあります。このような複雑な料金計算があり、安い薬を使ったからその分安くなるのかというと、そう簡単にいかないのが現実です。

でも確かにジェネリック医薬品に変更すると、ほとんどの場合、薬代は安くなりますので、信頼のおけるジェネリックが見つかれば、変えてもらうのも一つの選択肢になることは間違いないでしょう。しかし、変更したジェネリックの効果が、もともとの医薬品ほど見込めないようであればまったく意味がありません。また、新しく開発された医薬品には特許期間があり、ジェネリックが存在しません。ですから、変えたくてもジェネリック医薬品が存在しないということもありますので、いろいろな場合を想定して、皆さんの症状に応じた信頼できる医薬品を、かかりつけの医師・薬剤師とよく相談し選択した上で服用してください。

21.最後に〜やっぱり「かかりつけ薬剤師」
 平成15年10月から3年余、食べ物や嗜好品と薬の相互作用のことなどについて紹介させて頂きました。しかし、これ以外の食品のこともあれば、健康食品と医薬品の相互作用のこと、医薬品同士の相互作用のことなど、まだまだ数え切れないほどの紹介しきれなかった項目があります。
 そこで、皆さんが安心して医薬品や健康食品を服用するためにも是非「かかりつけ薬局」を作ってください。「五島薬剤師会」に所属する薬剤師は、皆さんの「かかりつけ薬局」の薬剤師となれるように様々な活動を行っています。
ここで、「五島薬剤師会」について少し紹介させて頂きます。「五島薬剤師会」は、五島市と新上五島町にある病院や薬局に勤務する薬剤師で構成され、現在55名が在籍しています。五島薬剤師会では、年間約30回の勉強会を開催し、薬剤師としてレベルアップを図っています。また、市民を対象とした講演会や薬に関する啓蒙活動、学校の薬や環境衛生管理、覚せい剤乱用防止、介護保険や在宅介護の事業など他にも様々な活動を行っています。
 そして今年から力を入れているのが、営業時間外に薬の相談が必要になった皆さんへの対応についてです。皆さんも、休日や夜間、薬に関する相談や、実際に薬が必要になることがあると思います。このような時、まずは皆さんのことを良く知っている「かかりつけ薬局」に連絡して下さい。「五島薬剤師会」所属の薬局は、今年から「夜間、緊急に薬の相談が必要になった場合の連絡先」と書いた案内を店頭にて配っています。もらっていない方は、かかりつけの薬局で頂いてください。記入されている番号に連絡すると、いつでも薬剤師と連絡が取れるようになっています。但し連絡がついても、薬局の薬剤師が島外にいる場合や、どうしても対応できない事情が考えられます。そういう場合にも、「五島薬剤師会」に所属している薬局であれば、連携をとって、他の薬局・薬剤師にお願いして対応できるようにしています。ただ、夜間、薬局を閉めてしまった後のことですので、やはりお互いの信頼関係も大切です。ですから、今後もご自分の信頼できる「かかりつけ薬局・薬剤師」と是非、良好な関係を築いていってくださるようにお願いします。

 このコーナーは、これで最後となります。つたない文章で、わかりにくい部分が多々ありましたことを申し訳なく思います。また、これまでずっと我慢して使ってくださった本山郵便局の皆さんに感謝いたします。私自身も大変勉強させていただきました。本当にありがとうございました。 (五島薬剤師会事務局長 薬剤師 平山匡彦)
 お薬の間違った使用例
 ここでは、一般の方が、医薬品を誤って使用した例をご紹介いたします。

 以外と皆さんもするかもしれませんよ!注意しましょう!


坐薬編

@ 坐薬を座って飲んだ。(よくあります)

A 坐薬のアルミをはがさずに、そのまま突っ込もうとしたが痛くて入れられなかった

B 坐薬を「お尻に入れて下さい」と言ったら、味噌汁に入れて飲んだ。まずかった。(お汁に入れて下さい)



貼付剤編

@ 心臓の貼り薬が胸の痛みに効くからと、肩やひざなどにべたべた貼っていた。

A 心臓の貼り薬が痛みに効くからと、知り合いにあげていた。

B 使用済みの心臓の貼り薬、もったいないから使い続け、体中あちこちニトロダームだらけのおばあちゃんがいました

C 心臓の貼り薬を「お風呂から出て、汗がひいてから貼って下さいね」と説明したら、患者さんは3日に一回しか風呂に入らない方で、3日に1回しか貼り替えていなかった。更に、逆に1日3回風呂に入る方は、1日3回貼り替える方も・・・・1日1枚貼り替え・・・ただし、薬によっては、3日に1回貼り替えなどと言う薬もあるので、用法を守ってください。

D フランドルテープを5ミリ角に切ってこめかみに貼っているおばちゃんいました。頭痛に効くそうです。

E テーピング用のテープを額に貼っている方もいました。テーピングは関節痛をとるから、頭痛にも効くそうです



目薬編

@ 子供に目薬をさして、「パチパチしてくださーい」と言ったら、手をパチパチ叩いた。



内服薬編

@ 子供が、風邪薬のシロップが美味しくて、全部飲んじゃったこともありました。

Aお薬のシートの誤飲も多いです。バラバラに切って保管されている方は、特に注意してください。

B プルゼニドはベンピの薬だから、便がピーってなってる時に飲むんだけど余計ひどくなるんだよねって相談受けたことがある。

C 「ラキソベロン液(液体の便秘薬)が全く効かない」という患者さんに「何滴つかってますか?」と聞いたら、「何滴なんて、わからない!」というので、よくよく聞いてみたら、ラキソベロン液をお尻から注入していたという患者さんがいました。

D 食間を食事中に服用する方多いですよね〜


誤飲編

@ ヒビテン消毒液を、間違って飲んだ患者さんもおられたそうです。ヒビテンがピンク色なので美味しそうに見えたのでしょうか。

A 保湿剤とステロイドを混合した軟膏をそのへんに出しっぱなしにして、お子さんがいたずらした。顔中軟膏だらけ、口にも入っちゃったかも。

B 軟膏チューブ咥えて全部吸ってた

C 軟膏容器の軟膏を、そのままにしていたら、犬が全部なめちゃったと大騒ぎされたことがありました。

D 軟膏をアイスクリームと思って食べてしまった方もおられたそうです。



如何ですか?

くすりは、使用方法をよく確認して使ってください。わからないときには、薬剤師にご相談ください!